働く人の労働条件をあげる役割は、一般的には組合が担っています。ところが、派遣スタッフの場合、この機能が組合と派遣会社にわかれてしまいます。取引上の力関係から、派遣会社は派遣先に要望を出せないことがある上に、現在の法律では、組合が派遣先に団体交渉を申し入れても派遣先に応じる義務がない、といった制約があるのです。2010年、派遣の業界団体である「日本人材派遣協会」や「日本生産技能労務協会」と、組合の上部団体である「連合」が協議をし、派遣先企業の組合が、外部人材である派遣スタッフの処遇向上の働きかけも一体として行うことを表明しました。
日本は派遣会社の数が多く、派遣会社の質に大きなばらつきがあります。利益率をおさえて社会性を重視する会社がある一方、暴利をむさぼる会社もあるのです。悪質な派遣会社を排除し、優良な派遣会社だけにしていくことが大きな課題です。安かろう悪かろう、の派遣会社があると、コスト競争の中で派遣スタッフのあつかいが悪化してしまうからです。
現在、派遣会社の参入基準の見直しの検討が厚生労働省で始まっています。製造業派遣の領域では、「優良事業社認定制度」がスタートしました。この認定制度の軌道に乗れば、派遣スタッフも良い派遣会社を選ぶことが今までよりも簡単になりますし、優良派遣会社間の適正な競争が促進されます。構造的な課題がいくつかあるものの、課題解決に向けて対策が講じられ始めているのです。